今年も12月を迎え、クリスマスの時期がやってまいりました。新型コロナウイルスの影響もあり、一時はクリスマス会やページェント(降誕劇)が出来ないのではないかと懸念した時期もありましたが、なんとか舞鶴市内での感染者数も減り、例年と同じく楽しいイベントを行うことが出来そうです。
クリスマスと言えば欠かせないのがサンタクロースですが、昨年のクリスマス会に出席なさった方の中には、子どもたちの演じるページェントにサンタクロースが登場しないことを不思議に思った方もおられるかもしれません。それもそのはず、サンタクロースのモデルになったのは「ミラのニコラウス」と言う人物であるといわれていますが、この人物は聖書の出来事よりもずっと後の4世紀ごろを生きた人なのです。
トルコのミラという町の司教であったニコラウスは、貧しい家の三人姉妹を助けるため、自分がしていると気づかれないように毎晩こっそりと金貨を入れた袋を窓から投げ入れていたという逸話が残っています。この逸話の窓が煙突に、金貨入りの袋がプレゼントの入った靴下に、貧しい娘が子どもたちに変化し、現在のサンタクロースの姿が出来上がっていったようです。
出身地から考えると、ニコラウスはトルコ人やギリシャ人のような黒髪で濃い色の肌の人物だったことでしょう。また、ニカイア公会議というキリスト教の教えを確認する重要な会議で間違った教えを広めた人物を殴ったという伝説もあることから、実はかなりの武闘派だったのかもしれません。いずれにしても、現実のサンタクロースは私たちがイメージするような雪国でトナカイのそりに乗る太ったおじいさんではなく、紺碧の地中海から反射する日差しで真っ黒に日焼けした筋肉質の男性だったはずです。
カトリック教会や東方教会では、港町ミラで活躍したニコラウスは子どもたちを守る聖人であると共に、船乗りを守る聖人であるともされています。ミラと同じく港町として栄えてきた舞鶴に住む私たちにとっては、親しみやすい人物かも知れません。クリスマスの時期に海に行く機会があれば、是非困っている人たちのために奔走した「海の男」ニコラウスに思いを馳せてみてください。
📖聖句
「マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。」 マタイによる福音書1章21節
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